野菜を効率よく摂るコツ

§ 食・健康 §

現代の食生活は野菜不足

一人暮らしや生活リズムが不規則でコンスタントに食事を摂れない” または “料理が苦手で買ってきたものやインスタント食品で済ませることが多い” この様な食生活が続くと気になって来るのが「野菜不足」。
毎年厚生労働省が行っている『国民健康・栄養調査』の結果でも現代は野菜不足という結果が出ています。野菜が足りている、足りてないとの基準は厚生労働省が推奨している一日に摂取する野菜の量です。それによると一日に必要な野菜の量は350gとなっています。平成30年の国民健康・栄養調査では成人男女の野菜摂取量の平均値は1日281.4g。男女別にみると男性が290.9g 女性が273.3gという結果で、この10年間有意な増減は見られないという調査結果でした。いずれも極端に少ない訳ではないですが足りていません。また、男女ともに20~40代で摂取量が少なく60歳以上は多い傾向と年齢によっても違いがあることが分かっています。

その一方で、ある野菜に対する意識調査では「野菜の量は足りている」と思っている方が多いという結果も出ています。実情は足りていないのに、意識では足りているという真逆の状態が起きているのです。それはなぜでしょう・・・。

 

野菜は生で食べますか? 加熱して食べますか?

カゴメが2015年に行った「野菜の摂取方法に関する調査」によると、普段の野菜の摂取方法で最も高かったのは「サラダ等の生野菜として」で実に89.5%に昇っていました。また最も栄養が摂れる野菜の摂取法でも約半数の46.6%が「サラダ等の生野菜」と回答しました。でも本当にそうでしょうか?

ここでもう一度厚生労働省の『国民健康・栄養調査』の結果を思い出してみましょう。“20~40代が野菜の摂取量が少なく、60歳以上は多い” これが意味する事は何か。20~40代は野菜を効率よく摂る方法として主に「サラダ」などの生野菜を選ぶ傾向が多く、60歳以上はサラダだけでなく「お浸し」「煮物」などの加熱調理したものからも摂る傾向にある。つまり年齢によっての摂取量の違いは調理法の違いである事が想像できます。60歳以上の野菜の摂取量が多いという事は生よりも加熱調理をした方が野菜を効率よく摂取できるということ。 “実情は足りていないのに、意識では足りている” という真逆の状態が起きてしまうキーポイントは、『生で摂る頻度が高いか加熱して摂る頻度が高いか』の違いよる可能性が高いことを示しています。

 

なんで野菜を摂る必要があるの?

食生活が不規則になったり栄養が偏りがちになると健康の事が気になり漠然と「野菜を摂ろう」という意識が高まります。では「健康=野菜」のイメージはどこから来ているのでしょうか。おそらく食に関する情報で「カロリーの摂りすぎは健康によくない」「野菜に含まれるビタミンやミネラルを積極的に食べる事が健康に繋がる」という内容を見聞きする機会が多いことが理由として考えられます。実際に野菜の栄養成分を見てみると一部を除き主な栄養素は「ビタミンとミネラル」で、カロリーは高くありません。しかしビタミンとミネラルだけを積極的に摂れば健康になれるかというと残念ながらそうではなく、三大栄養素との相互作用によって初めて体にとって有用なものになります。

【三大栄養素】生きる為のエネルギーや体の材料となるもの
炭水化物・・・主にエネルギー源(実際に体を動かすだけでなく生命維持すべてのエネルギー源)
脂質・・・エネルギー源・ホルモンや細胞膜、核膜を構成する材料
たんぱく質・・・からだの材料(細胞・筋肉・骨)

【ビタミン・ミネラル】
からだの調子を整える働きがあり、三大栄養素の分解や合成を助ける働きを持ち栄養を代謝するのに欠かせないもの。三大栄養素の心強いサポート役!

★ビタミン・・・様々な生理機能を維持する為に働いたり、新陳代謝をサポートする。
★ミネラル・・・骨や歯など身体の構成成分になったり、筋肉の収縮や神経伝達や代謝の調節などの生理作用の調節に関わっている。

それぞれの働きが分かると、どの栄養素も欠かす事のできないものだという事が分かります。野菜を積極的に摂ったとしても、大前提としてカロリーを持つ三大栄養素がバランスよくきちんと摂れていなければビタミンやミネラルの働きは発揮されにくい状態になってしまいます。野菜を摂る目的は「三大栄養素を効率よく代謝する」「生理作用などを調節して体の調子を整える」ため。それが結果的にヘルシーに繋がり健康維持できるのです。

 

効率のよい摂り方

野菜を摂る時 “生” “加熱” どちらのが多いですか?エミールのお勧めは『加熱』です。

~ 加 熱 を 勧 め る ワ ケ ~

★緑黄色野菜や根菜類は加熱しないと食べられない物が多い
★かさが減るので一度にたくさんの量が摂れる
★熱を加えることで栄養吸収率がUPするものがある
★消化しやすい
★体を温める

茹でると流れ出てしまう水溶性のビタミンは汁物にする事で逃さず食べられますし、火に弱い栄養素も多少は減っても健康に大きく影響するものではありません。

よくスーパーで目にするパックになって売っているサラダ80g

器に移すとこんな感じ
けっこうボリュームがあるように見えますがこれを茹でると

カサがだいぶ減りました。

材料に使われている野菜の量の目安はこれくらい

ん~かなり少ない・・・。加熱調理ならばこの数倍の量を一度に摂れます。

またサラダで食べる時に意外と見落としがちな事があります。それがドレッシングです。ほとんどの場合ドレッシングの主成分は油です。三大栄養素の理想の内訳バランスは炭水化物が約60%、たんぱく質が約15%、脂質が約25%。つまり脂質の割合は全体の1/4には抑えるのがポイント。そうなると、魚や肉など食材そのものが持っている脂や調理に油を使っている場合はそれだけですでに1/4に達しているかもしれません。そこに更にドレッシングの油が加わると脂質過多になる可能性が非常に高くなります。せっかくビタミンとミネラルを摂っても脂質過多になっては勿体ない。その点、加熱して作る汁物、煮物、お浸しなどは脂質の割合を上げずに一度にたくさんの量を摂ることができるのでとても効率的と言えます。また、生で食べられる野菜の種類は限られますがほとんどの野菜が加熱して食べられるという点もお勧めの大きなポイントです。

とは言え、サラダが良くないわけではありません。鮮度のいい旬の生野菜のシャキシャキした食感は美味しいですし、調理の手間がかからず手軽に食べらるなどのメリットがあります。どんな物にも必ずメリットとデメリットの両面があり、基本的に食べてはいけない物はありません。もしメリットよりもデメリットの方が大きい時は嗜好品として楽しめばいいだけのこと。日々の野菜の摂り方は加熱したものを主とし、生野菜での摂取の頻度を控えめにすればオッケーです。

 

まとめ

調査で、“普段の野菜の摂取方法” も “最も栄養が摂れる野菜の摂取法” の回答も一番高かったのは「サラダ等の生野菜」でした。この結果をみると現代人が野菜不足になりがちな理由は明らか。生野菜は美味しいですが、頻度が高くなるほど効率よく摂ることからは遠ざかりやすくなってしまいますので、日常的にサラダから野菜を摂取している方はスープやお味噌汁などの汁物や煮物、お浸しなど加熱して食べる頻度を増やしてみて下さい。

          

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